聖なる夜は・・・2(ロビン×ゾロ+ルフィ×ナミ) |
トップページ 利用規約 メニュー |
その頃、ゾロとロビンは港町の酒場で、サンジがあらかじめ注文しておいたシャンパンを受け取っていた。
(夜までこいつを引きとめておけって言われたが、どうするかな・・・)
ロビンと二人きりになる事・・・いや、女性をエスコートする事自体に慣れていないゾロは、戸惑いながら歩いていると、後について来たロビンと共に、何時しか港の一望出来る丘の上に来ていた。
「あら、ぼんやりしていたら反対側に歩いていたのね」
そう言ってロビンは、怒っている風も無く、むしろ迷う事を楽しむ様に港を眺めていた。
「ん・・・悪い・・・」
「あら、良いのよ・・・今はちょっと船を離れていたかったし・・・」
そう言うロビンの顔は、心なしか元気が無い様に見えた。
「何か・・・あったのか?」
普段は気にしないフリをする所だが、ロビンの寂しげな横顔に、思わず声を掛けてしまった。
「・・・振られたみたいなのよ・・・無理だって解っていたのにね・・・」
ロビンもまた、背を向けたまま、今まで誰にも明かした事の無い胸の内を明かしていた。
「え?・・・だって昨日・・・」
ゾロは昨日ルフィと一緒だったじゃないかと言いかけた口を慌てて自らの手で塞ぐと、それに気付いたロビンが隣へとやって来た。
「私を見たの?」
「・・・昨日・・・ルフィと二人で何処かの店に入ってたろ・・・」
視線を反らしてボソボソと喋るゾロを見て、ロビンは驚いた様子でゾロの顔を見ると、ゾロの顔が途端に真っ赤になった。
「私が誰に振られたか興味有るの?」
「べ・・・別に・・・」
「・・・私ね、昨日貴方と航海士さんが船を降りたのが気になって、買出しに付き合うふりをして貴方を捜したの。・・・そして、貴方達二人が服屋で仲良さそうに買い物してる姿を見かけて、つい・・・あぁ、もう駄目だなって・・・」
「あれは、ナミに金を借りる代わりに、ルフィのプレゼントを買いに行くのに付き合わされただけだ・・・この街は治安が悪いらしいからな・・・」
そう言って小さく笑うロビンを見たゾロは、コートの内ポケットから、小さめの包みを取り出した。
「・・・本当は夜にやるつもりだったんだが・・・」
ゾロは視線を反らしたままロビンに包みを差し出した。
「これを・・・私に?」
ロビンは驚きながら包みを受け取り、その場で開けてみると、其処には純白のマフラーが入っていた。
「・・・これ・・・」
「今日・・・クリスマスだろ・・・だから・・・」
その言葉にロビンは嬉しそうに微笑むと、マフラーを首に巻いて、ゾロの体を包み込む様に抱き締めた。
「!?」
「こんな素敵なクリスマスは初めて・・・ありがとう」
ゾロは真っ赤になって動けないまま、夕闇が辺りを包み始めた。
「メリークリスマース!!」
「ハッピーバースデー!チョッパー!!」
そんな声が食堂にこだまする中、ゾロとロビン、そしてルフィとナミは、幸せそうに互いの顔を見つめ合っていた。
「良いねぇ・・・冬なのに春が来たねぇ」
「全くだ・・・羨ましいなぁ・・・」
そんな事を言いつつ、離れて暮らす恋人から届いたプレゼントを手に嬉しそうなサンジとウソップと、そして皆がそれぞれに用意したプレゼントに埋もれて嬉しそうなチョッパーの姿があった。
「ところで、二人はあの時何買ってたんだ?」
サンジが思い出した様にルフィとロビンを見ると、二人は揃って食堂を出ると、すぐさま小さな包みを沢山持って戻ってきた。
「これな、ロビンが俺達全員にプレゼントだって」
ルフィが嬉しそうに言いながら、皆に一つづつ包みを渡した。
中身は色違いの手袋。
ありがとうの言葉を皆が口々に告げると、ロビンは嬉しそうに微笑んだ。
「私こそ・・・今年は初めて、本当に楽しいクリスマスになったわ・・・本当にありがとう」
そんな言葉が飛び交う中、皆は段々と酒が入って盛り上がり、酔いつぶれた夜中、ゾロは一人雪の降り始めた甲板へ出た。
「ホワイトクリスマスになったわね」
ゾロが振り返ると、其処にはゾロのプレゼントしたマフラーをしたロビンの姿があった。
「今までは、変な態度ばかり取って悪かった・・・」
船首に立ったゾロは、隣にきたロビンに謝ると、今度はロビンがゾロの首に何かを掛けた。
「これは・・・」
「私からのプレゼント」
ゾロの首に掛けられたのは、緑色のマフラーだった。
「それともう一つ・・・」
降りしきる雪の中、二つの影が一つに重なった。
―おわり―
■あとがき■
はぁ・・・終わりましたが、最後は桜葉の焦りが目に見えてますね(滝汗)
えっと、この話ですが、最初はロビゾロのみの話にするつもりだったのですが、変な四角関係が書きたくなったので、急遽ルナミを追加してみました。