Temptation

(世阿弥)


「ジョイアが気になるかね?」
大広間で世阿弥を待っていたサングエは、ジョイアも退室を待ってから、ゆっくりと口を開いた。
「あ・・・いえ・・・。」
図星を指されて真っ赤になって俯いてしまった世阿弥を見て、向かいのソファーに座ったサングエは、小さく笑みを浮かべた。
「世阿弥君。もし君さえ良ければ、私はジョイアを君の嫁にしても良いと思っているのだがね・・・」
「!?・・・しかし、私はお嬢さんとまだ殆ど話もした事ありませんし・・・」
「・・・もし、これが、ジョイアの望みだと言ってもかね?」
その一言に、世阿弥は驚いて顔を上げると、サングエは世阿弥の隣へと席を移動した。
「ジョイアは私の自慢の娘だ、ジョイアから初めて君の話を聞いた時は、正直戸惑ったが、君が家へ訪問する様になって、君の誠実さが見えてきた故、親としてお願いしているんだがね?」
「・・・少し、お時間を下さい。」
前回までとは明らかに違うサングエの様子に畏怖した世阿弥は、結局返事を明確にせずに、城を後にした。


次のページ
小説目次(天外魔境)
小説総合目次
入口
目次