(みこし・絹)


「こんにちはー」
伊賀に住む百地三太夫の末妹のみこしが、大江山に住む絹を訪ねたのは、秋も深まったある晴れた日の事だった。
「あら、みこしさんいらっしゃい」
訪ねて来たみこしを明るく出迎えたのは、両親と共にこの山に住む火の勇者、絹である。
「・・・あら、今日はみこしさんひとり?」
ヨミとの闘いが終わったのち、女の子同士と言う事で仲良くなった三姉妹と絹は、互いの家を行き来する間柄となった。
ところがいつもは三人で仲良く遊びに来るのに、今日はみこし一人だったのが、絹には気がかりだった。

「実は・・・」
絹は訳を話したがらないみこしを中へ通しお茶を出した所で、バツが悪そうな顔で口を開き始めた。
「実はまつり姉ちゃんが、最後に絹さんの所へ遊びに来た後から、急に姿をくらましてしまって・・・」
「まつりさんが?・・・もしかしてあのカブキさんの手紙の事で?」
「えぇ、だから花火姉ちゃんは心配いらないって言うんだけど、私やっぱり気になって、もしかしたらカブキさんの事を絹さんに聞きに来てないかと思ったんですが・・・」
みこしが溜息交じりに言うと、絹は驚いた顔でみこしを見た。


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