「何故じゃ、良いじゃないか、減るもんじゃなし」
その時、卍丸の首に、いきなり腕がからみついた。
「卍丸・・・まつりさんのお願いが聞けないってのかい?ん?」
すっかり出来上がったまつりは、着てきた梅柄の小紋の袖をたくし上げると、卍丸の首に回し、締め上げ始めた。
「花火姉ちゃん、止めないの!?」
「・・・もう少し様子を見ましょう。・・・実は私も卍丸様の花嫁姿には興味あるし」
桃柄の小紋を着て、花火の隣に座っていたみこしが声をかけると、花火はそう言って、残った酒に口をつけた。
「さ、卍丸がまつりに殺される前に、行くとするか」
極楽はそう言ったあと、手早く荷物を片付けると、皆の中心に立ち、風の護符をかかげ、一行は鹿野村へと向かった。