「さ、理由がわかったら、二人とも手伝って。このお豆を、綾部村に運ばないといけないんだから」
絹にせかされ、カブキと卍丸は、既に村に向かった極楽を追って、大鍋一杯の大豆を運んでいった。
「鬼は内、福は内!」の掛け声と共に、年男によって豆が撒かれた後、皆は村人と共に、歳の数だけ豆を食べた。
「なんじゃ、たったの千粒じゃ、腹の足しにもならんぞ」
あっと言う間に、大きな枡に山盛りになっていた豆を平らげた極楽を見て苦笑しつつ、これまた山に盛られた太巻きを持ってきた。
「恵方巻です。これもどうぞ」
「おぉ!待ってました!!」
極楽は、すぐさま太巻きを2本取り、千代と二人で西を向いて食べ始めた。
「さ、卍丸とカブキさんも食べよう」
三人は、それぞれ1本づつ太巻きを手に取ると、神社の西側に腰を下ろして、太巻きを食べ始めた。