「おぉ!これは火の勇者様!!良くおいでくださいました!!」
卍丸達が来るのを知っていたのか、村の入り口で待っていた村長が、見かけるやいなや、4人の元へと駆け出して来た。
「絹様も綾様も、首を長くしてお待ちでしたよ、早く行ってあげて下され」
村で食事をもてなしつつ、村長にせかされ、卍丸たちは、困惑しつつ、近江山へと向かった。
近江山は、卍丸の知っている印象とは、ガラリと変わっていた。
人間の子供達と鬼の子供達は仲良く遊んでいたり、行商人がせわしなく行き来したりと、人間の村と何ら変わらぬ賑わいを見せていた。
「・・・これが、元の近江山じゃ」
驚きで目を丸くしている卍丸に極楽が優しく言うと、卍丸は力強く頷いて、先を急いだ。
少し歩くと、出口の方から、香ばしい香りが漂ってきた。
「これ、大豆の香りじゃねぇか?」
カブキが花をヒクヒクさせて言うと、卍丸は、再び困惑の表情に戻りつつ、出口へと急いだ。
緩やかな階段を上がると、前と変わらぬ光景が、卍丸の眼下に広がった。
「いらっしゃい、皆!」
広場で豆を煎る手伝いをしていた絹が、卍丸に気付くと同時に、愛犬シロと共に、駆け寄ってきた。