「此処が越前・・・」
金沢の城下を歩きながら絹が回りを見回してると、卍丸は此処で起こった事を絹に話し始めた。
カブキの暴走、極楽との出会い、そしてはまぐり姫の事・・・。
全てを話し終える頃には、二人は人魚村の見える岬の天狗の庵の前に来ていた。
この辺りは、もう周囲がすっかり雪景色に変わり、何処を見ても真っ白な雪原が広がっていた。
「綺麗・・・」
どこまでも続く白銀の世界に、絹が感歎の声を洩らすと、卍丸は雪原にしゃがみこんで、雪を掻き分け始めた。
「確か・・・この辺りで・・・あった!!」
絹が呆然と見ている中、卍丸はあちこち掘り返した後、大声で叫んだ。
その声に驚いた絹が近寄って掘った所を覗き込むと、そこには一輪の小さな花が咲いていた。
「雪の下に・・・お花?」
「あぁ、雪割草って言って、これから一杯咲くんだけど、薬の材料になるから、摘まれる前に来たかったんだ。」
「卍丸・・・」
絹は照れた様に頭を掻く卍丸の隣に座ると、その花を嬉しそうに眺めていた。
「さてと・・・」
絹が眺めている横で、卍丸は持って来た風呂敷を広げ、中から底に小さな穴のあいたツボの様な器と、大工が使う小手に似た金物を取り出し、いきなり花の周りの土を掘り始めた。