「卍丸、何を・・・!?」
「良いから見てろよ」
卍丸はあらかじめ器に詰めてきた小石をならすと、掘り返した土を小石の上に掛けて行き、最後に根っこごと掘り返した花を器に入れた後、回りを土で埋めた。
「!?・・・これ、確か神戸で・・・」
「そう、宝塚で見たのは花壇って言うらしいんだけど、これはそれを小さくした奴で、鉢植えって言うんだってさ」
卍丸はそう言うと、鉢植えの花を潰さない様に、そっと風呂敷で包んだ。
「実は皆と別れてからさ、どうしてもこの花を絹に届けてあげたくて、ホテイ丸さんに相談したんだ。そしたらこの鉢植えの事を教えてくれたんで、二人で神戸に戻って、入れ物と、植え替える為の道具を作ってもらったんだ・・・絹は、花が好きだったから・・・」
それを聞いた絹は、真っ赤になって俯く卍丸の両手を、嬉しそうに自らの両手で包み込んだ。
「卍丸ありがとう・・・私、このお花、ずっと大事に育てるね?」
「あぁ、そう言って貰えて、俺も嬉しいよ・・・。」
卍丸がそう言って顔を上げると、絹の顔が夕焼けで赤く染まっていた。
「あ!?もう夕方だ!!早く帰らないと、父ちゃんに殺される!!」
「あ!・・・本当!・・・急ぎましょう、卍丸!!」
ふたりは互いの手を握ったまま護符をちぎって飛騨へと戻って行った。