初夏の日差しが眩しい早朝、大神と加山の二人は、こっそりと帝劇を後にした。
「・・・由里さんの言っていた事は本当だったようね」
「ほんまやな。ほな行こか?」
疑いの目で大神達を付け始めたのは、さくらと、紅蘭のお騒がせコンビだった。
事の始まりは、紅蘭の部屋に遊びに来た由里の一言から始まった。
「ねぇ、明日の休演日に、大神さんと加山さんは二人だけで出掛けるらしいわよ?何処行くのかしら?」
「加山さんとだったら別に・・・」
その時一緒に部屋に居たさくらは、特に関心を示さなかった。
「せやけど、うちらには明日は一人で出掛ける言っとったのになんで嘘ついてまでうちらを遠ざけるんやろ?」
嘘の嫌いな紅蘭はムッとした顔で疑問を口にした。
「そうよね、私が一緒に行こうとしたら、物凄い勢いで断られたし」
「・・・まぁ、さくらはんの事はともかく、これはめっちゃ怪しいで?」
「怪しいって、何が?」
怪しげな仕草で眼鏡を掛け直す紅蘭に、由里は好奇心一杯の視線を向けた。
「男が二人だけでこっそり出掛ける言うたら、大体の見当は付くやろ?」
「まさか、花街とか?」
由里の不注意な発言に、隣に座っていたさくらから、妖しげなオーラが発せられた。
「・・・紅蘭」
「な、・・・なんや?」
「明日は私に付き合ってくれるわよね?」
問答無用なさくらの問いかけに、紅蘭は黙って頷くしかなかった。
「あ、急がんと巻かれるで!」
「待ってよー、こうらーん」
こうして二人の怪しい尾行は始まった。
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