アイリスとレニが中庭で話をしている頃、三人と別れた由里は、偶然帝劇の裏口から大道具部屋へ入ってくるかすみを見かけた。
(かすみさん・・・とっくに帰った筈なのに・・・)
由里はとっさに物陰に身を隠してかすみをやり過ごすと、物陰から動かぬままかすみの行く先を見ていると、かすみはエレベーターを使って何処かへ行ってしまった。
(上か・・・)
由里はエレベーターの行き先を確認すると同時に階段を使って上に上がると、上がってすぐにあるかえでの部屋からかすみの声が聞こえた。
「ご苦労様です。お夜食作ってきましたので、皆さんどうぞ」
どうもかえでの部屋の中には複数の人物が居るらしく、密やかに会話をしているが、とても楽しそうな雰囲気であった。
由里が様子を窺おうとドアに近づくと、それと同時にドアが開いて、由里はつんのめる様にかえでの部屋に入って行った。
「・・・由里・・・やっぱり貴女だったのね?」
其処にはドアを開けた大神、そして部屋の中央には花火とかえで。そして呆れ顔で由里に話し掛けたかすみが座っていて、手にはそれぞれ小さな布きれと針が握られていた。
「知ったからには協力してもらうよ?由里君」
皆が勘付く前にすばやくドアを閉めた大神は、しゃがみ込んだまま呆然としている由里に向かって、意味深な笑みを浮かべた。
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