「たけし君!!」
「さっき此処で騒ぎがあった時、まさかと思ったけど、やっぱりさくらだったんだな」
たけしは子供の頃と何ら変わらぬ笑顔を見て、安らぎにも似た感情を憶え、二人は自然と通りの外れにある河原の方へ向かった。
「お正月に仙台で会って以来よね?」
たけしはその問いに対して、微かに笑みを浮かべた。
「え?何?違うの?」
「帝劇には結構行ってるんだぜ?」
「え・・・?」
意外な一言にさくらは目を丸くした。
「来てくれるなら言ってくれれば・・・」
「そんな事したら心配する人が居るだろ?」
「え?・・・あ・・・」
たけしの一言に、さくらの頬がほんのりと赤らんだ。
「・・・そう言う時は嘘でも否定してほしかったな」
たけしはそう言うと、道端の小石を拾って川に投げた。
「たけしくん・・・」
「俺、小さい時からずっと好きだったんだぜ?さくらの事」
さくらがその言葉に俯くと、たけしは困った様に頭を掻いた。
「ごめん、別にさくらを困らせるつもりじゃなくて、その・・・最後に伝えておきたかったんだ・・・俺の本当の気持ちを・・・」
「え?」
「俺、医学の勉強をしにドイツへ渡るんだ」
「何時?」
「明日」
振り返ったたけしの笑顔が10年前の笑顔と重なって見えた。
「日本を離れる前に会えて本当に良かった・・・あの人はもてるみたいだから、しっかり捕まえておけよ?」
「・・・たけしも元気でね・・・」
「ふふ・・・やっと昔の呼び方に戻したな?」
たけしはそう言ったあと、さくらの背後に視線を移し、それに気付いたさくらが振り返ると、浴衣姿の大神が静かに立っていた。
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