初夏の夜、梅雨の晴れ間を利用して、花組の面々とかえでは近くの公園に蛍見物に来ていた。
「きれーい、凄い綺麗だよねレニ?」
「あ・・・うん」
レニは蛍が何故光るのか説明しようとしたが、美しく光る蛍達を見ていたら、そんな事はどうでも良くなり、アイリスと共に蛍の光に見入った。
「かえでさん」
大神は、帝劇の方を心配そうに見詰めるかえでに声を掛けた。
「え?なに?」
濃紺の浴衣に身を包んだかえでが振り返ると、心配そうな顔の大神が立っていた。
「俺、帝劇に戻ってもう一度連絡してきましょうか?」
大神の言葉にかえでは少し赤くなりながら、首を横に振った。
(・・・加山の奴、何をしているんだ)
大神はかえでを気遣い、口には出さなかったが、内心は約束の時間を30分以上過ぎても現れない加山に対し、苛立ちを感じていた。
「隊長、ちょっと」
そんな大神の背後にカンナが現れ、半ば強引に大神を皆の元へと引っ張っていった。
「な?・・・なんだいいきなり・・」
「来たんだよ、加山が」
大神が物陰から覗くと、浴衣を着た加山が、かえでに頭を下げていた。
どうやら約束の時間を間違えていたらしい。
「隊長、私達はそろそろ・・・」
「あぁ、そうだな」
皆は二人に気付かれない様にそっと公園を後にした。
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