迷い猫

(ゾロ)


「でも、ただの友達の家に勝手に入っていいのかよ」
落ち着かない様子で辺りを見回すゾロを見て、女は笑った。
「心配しなくても良いわよ、ちゃんと連絡しておいたから」
女はそう言いながら、部屋の隅に置いてあった小さなテーブルを、ベッドサイドまで持ってきた。
「ねぇ、そろそろ降ろしてあげたら?」
ゾロがシャツを見ると、先程まで眠っていた子猫が匂いにつられて目を覚ましていた。
子猫は床に降ろされると、今度はベッドに座ったゾロの膝の上に飛び乗ってきた。
「よっぽどその猫に気に入られたみたいね」
女はそう言いながら次々と出来たての料理を運んできた。
「はい、あなたはこれね」
女はテーブルの隅に、人肌に暖めたミルクの皿を置いて、子猫をテーブルに乗せた。
「さ、貴方もどうぞ」
女はニッコリと笑ってゾロに言うと、空腹の限界を感じていたゾロは、物も言わずに食事を食べ始めた。
「・・・あんたは食べないのか?」
暫くして女が食事に手を付けていない事に気付いたゾロは、女に声を掛けた。
「私はいいわ。貴方達と会う前に食事は済ませたから」
「・・・だったら何故俺に飯を食わせたりしたんだ?」
ゾロは手を止め、疑いの眼差しを女へと向けた。
「猫が好きだからってのは、理由にならない?」
女は不敵な笑みを浮かべながらゾロに答えた。


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