ゾロが街へ着く頃には昼を少しすぎていて、昼食を取ろうと余所見しながら歩いていると、路地の角で、柔らかな物とぶつかった。
「あ・・・ごめんなさい」
「いや・・・悪い」
ぶつかった拍子に路地の隅に飛んでいった眼鏡を拾って、相手に渡そうとしたその時、ゾロの顔は真っ青になった。
「げ・・・」
危うく握りつぶしそうになった眼鏡を手渡したその相手は、たしぎ本人だった。
「あ、ありがとうござい・・・ま・・・え・・・?」
眼鏡をかけたたしぎは、一瞬驚いた顔をしたが、腰の刀を見た途端、落胆の色を明らかにした。
「・・・ごめんなさい、あやうく人違いするところでした」
そう言って頭を下げ、がっかりと去ろうとするたしぎの肩を、ゾロは思わず掴んでしまった。
「あ・・・あの・・・良かったら、飯でも食わないか?・・・その・・・ぶつかったお詫びだ」
今にも倒れそうな様子のたしぎを放っておけない感情にとらわれたゾロが思わず声をかけると、たしぎは意外すぎる程あっさりと付いて来た。
自分の腕に自信のある表れだろうが、人違いだと思われた上に、人の誘いにあっさり付いて来たたしぎに嫉妬にも似た苛立ちを覚えつつ、ゾロは近くにあったオープンカフェへと入った。
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