蒸し暑い夏の日差しの下、ローグタウンの細い路地を、一人の少年が走っていた。
少年の名はスモーカー。まだ顔にあどけなさの残るこの少年は、街の中心にあるメインストリートを目指していた。
(早くしなきゃ・・・)
少年がメインストリートに着いた時には既に人だかりが出来ていたが、少年はそれを見て時間に間に合った事を確信し、人込みを掻き分けて最前列へと飛び出した。
その直後。あの人物は通った。
背丈は2メートル以上はありそうな大男が、手枷をされて歩いている。
少年は、初めて見るその男の神々しいまでの貫禄に、一瞬にして心を奪われ、男から視線が外せなくなった。
手枷の男が少年の目の前を通り過ぎる時、二人の視線はピタリと合い、男は少年に向かって笑いかけた。
それは、少年が今まで思い描いてきた海賊のイメージとは全く違う暖かな笑顔。
これから待つ死への恐怖など全く感じていない様子のその男を見て、少年は驚きを隠せなかった。
そして首が飛ぶその直前。彼は少年に見せたのと変わらぬ笑みを残して、この世から消えた。
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