つまさき

(天外魔境2/カブキ×絹?)


「おや、菊五郎の大将。首尾の方はどうでやんした?」
「・・・てめぇら、これじゃかかとだけ高くなってるから、背伸びしたのと変わらないと知ってて売りつけやがっただろ・・・」
菊五郎がそう言って床に投げつけた靴は、いわゆるシークレットブーツと言う奴で、全体的に上げ底にはなっているのだが、実際はハイヒールの様な構造なので、爪先立ちの形になるだけで、身長にさほど影響が出ないのだった。
「絹に見抜かれた挙句、終いには
『私、カブキさんみたいな背の高い殿方が好みなんです!』
だと・・・この俺様の繊細な心はズタズタだぜ・・・」
上がり框に腰をかけ、がっかりと頭を垂れる菊五郎の背中を見ながら、足下は何かを閃いた様子で、四方に散った兄弟に向け、手紙をしたためた。
「菊五郎の大将、そんなに落ち込まないで下さいよぅ♪あっしが倫敦で良い靴を見つけましたからね、今度は大丈夫でやんすよ。・・・しかし、これは舶来品の高級な靴なので・・・」
「かまわん、金ならいくらでも奪い取ってくるから、さっさと新しい物を用意しろ。ただし、効果がなければ・・・解っているな?」
いくらショボいとは言え、一度はボスとして君臨した菊五郎の睨みにも顔色一つ変えずに足下は微笑むと、子分に店を任せ、何処へともなく消えていった。


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