「・・・?どうしたんだ?お前今日変だぞ」
床の間を背に座ったあぐらをかいたカブキが、不思議そうに顔を覗きこむと、絹は大きなため息をついた後、カブキを見た。
「・・・カブキさん、伊賀に居た、菊五郎はご存知ですね?」
「あぁん?菊五郎って、あの派手バカのことか?」
絹は黙って頷いた後、またため息をついた。
「その人、生きていたのですが、何処で知ったのか、私の事を見初めたらしく、しつこく付きまとってくるんです。
敵意は感じないし、今更火も根も無いので、討伐する訳にも行かなくて困っていて・・・」
「ちっ、あのバカ派手男、まだ生きてやがったのか・・・しかも絹にちょっかいだぁ?・・・どうしてくれよう」
「それで、私、あまりにもしつこいので、
『私、カブキさんみたいな背の高い殿方が好みなんです!』
と、つい・・・そしたら、諦めて帰ってくれたみたいなんですけど、また来る気がして・・・」
そう言って絹が顔を下に向けると、カブキは思わず苦笑を洩らした。
「あ・・・あいつが絹に?・・・しかも背が低いとハッキリいわれ・・・くっくっく・・・」
カブキが肩を震わせて必死で大笑いするのを堪えている頃、菊五郎は、石見にある足下村へと来ていた。
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