慰め

(サクラ大戦/マリア・カンナ)


その頃マリアは、テラスで銀座の夕日をぼんやりと眺めていた。
「私は・・・本当に弱くなってしまったのかしら・・・」
「かもな」
背後からの相槌に、ギョッとした表情で振り返ると、台本を手にしたカンナが、苦笑して立っていた。
「なんだよその顔、オバケでも見たみたいな顔してるぞ」
「・・・」
カンナが隣に立つと、マリアは真っ赤になって、街に目を戻した。
「・・・そんなに心配なら、行ってくれば良いじゃねぇか」
「・・・そういう訳にはいかないでしょ・・・私は・・・私達は大神さんから、この街を任されたんだから・・・」
「1年前の時は、野郎ばかりで海の上だもんな、心配の必要もなかったが、今度は花の都巴里、し・か・も、華撃団は当然女だらけだろうしなぁ〜」
カンナがニヤニヤしながら言うと、マリアの顔から、みるみる血の気が引き、唇が小刻みに震え始めた。
(やべぇ・・・マジギレしたかな)
カンナがそう思いながら、無意識に身構えると、マリアの瞳からは、みるみる涙が溢れてきた。
「そんなに・・・不安に・・・させない・・・でよ・・・私の気持ち・・・知ってる・・・くせに・・・」
手すりに突っ伏して泣いてしまったマリアの、あまりにも意外な展開に、カンナはおろおろして、肩を抱いた。
「ごめん、マリア。あたい、いじわるするつもりじゃなかったんだよ・・・ただ、あまりにお前が素直じゃないから、ちょっと発破かけてやろうと思っただけで・・・」
マリアは顔を伏せたまま上体を戻すと、そのまま体を返して、カンナに抱きついた。
「カンナ・・・私・・・どうしたら良いの?・・・戦い方ならわかるけど・・・こういうの解らないわよ・・・」
そこには冷静沈着なマリアの姿は無く、ただ、恋焦がれる人の事で、迷い苦しんでいる乙女の姿があるだけだった。


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