「あんたは、レニが織姫を庇ったのと、中庭でのんきに寝てるレニを見て堕落したと思ったんだよな?」
「ええ」
「・・・ま、大神さんが隊長になる前のマリアなら、同じ事言ったかもな、油断しすぎだって・・・」
「・・・」
「マリアもレニも、堕落した訳じゃねぇんだよ、安心していられる場所を見つけたから、あぁしてのんきに寝ていられるんだよ」
カンナの一言に、ラチェットは不快そうに眉をひそめた。
「あたいは、マリアの過去も、レニの過去も聞いただけで見てはいないから、推測でしか言えないが、自分しか信用できる人間が居なかったんじゃねぇかな・・・でも、ここに来て、大神さんに出会って、あたいたちは互いを信頼し、その事によって強くなれる事を知ったんだよ」
「・・・信頼と油断は違うわ」
「そうだな。でも、仲間が周りに居るときまで気を張り詰めていたら疲れるだろ?あんたも知っての通り、ここは一見ただの劇場だが、要塞並みの装備は整えてるし、敵が来れば、あの二人だって、すぐに気持ちを切り替える覚悟は常に出来てる。それをただ昼寝してるだけって理由で堕落したと言うのは、ちと厳しすぎないか?」
「違う!私が言いたいのは、あの子が寝てる間に何人もの人間が行き来するのに少しも起きる様子が無いから堕落したと言ったんです」
「おーう、それも間違いでーす」
三人が声の方を向くと、静かに開かれたドアから、織姫が入ってきた。どうやら、ドアの向こうにも、他のメンバーが聞き耳を立てているらしい。
「織姫・・・」
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