「・・・」
叩かれた頬を押さえたまま動こうとしないカブキを、富士山は不意に抱え上げて窓から放り出した。
「阿国さんを連れて帰ってくるまで、此処へ帰ってきては駄目でごんすよ!!・・・二人共、もう少し素直になったらどうでごんすか?」
窓から顔を出して怒鳴った後、心配そうに声を掛けると、カブキは小さく笑った後、街の外へと走って行った。
「捜したぜ」
ロンドン橋の袂で、ぼんやりと川を眺めている阿国を見つけた頃には、既に日も暮れかけていた。
「・・・ったく、とんでも無く見当違いな所を探し回って、クタクタだぜ・・・」
カブキは、そう言って阿国の隣に座り込むと、深呼吸をした後で、胸元から小さな箱を取り出した。
「・・・ほら、これ、お前の分」
阿国が箱を開けてみると、中には大きな飾りの付いたピアスが入っていた。
「・・・最初はお前だけに買うつもりだったが、卍丸とかにも買って行かないと、スネるからよ・・・。気に入った店捜すのに、一晩掛かっちまった・・・」
バツが悪そうにブツブツ言うカブキを見て、阿国は嬉しそうに微笑んだ。
「ありがと、カブキ。大事にするね」
「ったりめぇだ。・・・富士山が心配してるから、帰るぞ」
そう言って恥ずかしそうに立ち上がったカブキは、阿国と共にホテルへと戻って行った。
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