「・・・カブキは?」
此処はクイーンズの街外れにある一軒のホテル。
昨日から姿の見えないカブキに対し、阿国は苛立ちを隠せずにいた。
「全く、この忙しい時に、なに考えてるの?あの馬鹿!!」
「・・・」
「・・・富士山・・・あんたは良いわよね・・・男だから・・・」
無言で阿国を見つめる富士山を見て、阿国は不意に視線を落とした。
「カブキさんが・・・好きなんでごんすね?」
「違う!・・・ただ・・・姿が見えないとイライラするだけ・・・」
「・・・こんな時、世阿弥さんが居れば、きっと良いアドバイスも貰えるでごんすが・・・」
二人は見詰め合うと、深い溜息をついた。
「レイナ姫との一件があってから、少しは自重すると思ったのに・・・」
阿国が、ベッドに座って溜息を付くと、眼下には、こちらに向かって一直線に走ってくるカブキの姿が見えた。
「よぉ!ただいま。いやぁ、俺様を待つ女達に土産の一つも買って帰らねぇと、伊達男の名が廃るってもんだぜ・・・」
パンッ
カブキが言い終えるとほぼ同時に、カブキの頬に真っ赤な手形のついたのは、その時だった。
「あんたって、最低!!」
阿国はそう言うと、そのまま窓から飛び降りて、外へと飛び出して行ってしまった。
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