その日、帝劇内部にて、アイリスの大事にしていたと言うブローチだ無くなったと騒ぎになった。
「アイリスのブローチー・・・」
場内を隈なく探し回って疲れきったアイリスを横目に、すみれはいつもと変わらず、サロンで紅茶を飲んでいた。
「すみれさん!アイリスが困っている時位、手伝ってあげたらどうなんですか!?」
すみれはすぐ横に来て怒鳴るさくらを横目で一瞥した後、おもむろに立ち上がった。
「さくらさん。私は公演が終わったばかりでとても疲れているの。第一アイリスがブローチを無くしたのは、アイリス自身のミスではなくって?
そんな事にいちいち私を巻き込まないで下さいな。」
すみれはさくらの目を真っ直ぐに見据えて言い放った後、自分の部屋へと戻ってしまった。
「なんだあいつ、相変わらず感じ悪いな」
修行から戻ってきたばかりのカンナがすみれの去って行った方を見ながら呆れた顔で言うと、一階から大神とマリアの二人が上がってきた。
「何の騒ぎだ?」
大神が怪訝そうに聞くと、さくらはアイリスのブローチが無くなって、すみれにも捜すのを手伝えと言ったら、怒られたと話した。
「・・・確かにすみれの言う事にも一理あるわね。今はすみれが主演の舞台なだけに、すみれにはベストな状態でいてもらわないと・・・」
「そうやな・・・。まぁ、これだけ人数が居れば、何とか見つかるやろ。うちらだけで頑張ろ!」
場を和ませる様な紅蘭の物言いに、皆は頷くと、今度は大神とマリアも加わって、ブローチを探し始めた。
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