Miss Me

(スモーカー×ヒナ)


「また此処に居たの、貴方っていつも行き詰まると此処に来るのよね・・・」
海軍士官学校の校舎裏で、ぼんやりと葉巻を咥えているのは、海軍大佐のスモーカーであった。
「・・・麦わらの情報でも入ったか?」
スモーカーは傍らでムッとしたまま立っているヒナには目もくれずに、ぼんやりと海を眺めていた。
「たしぎがわたくしに頼み事をするなんて、余程の事だと思って来てみれば、やっぱり麦わらの坊やの事を考えていたの・・・ヒナ呆然」
ヒナは呆れた視線をスモーカーに向けた後、スモーカーの隣に座り、煙草に火を点けた。
「士官学校の時、年中こうして授業サボってたわよね」
「あぁ」
スモーカーの返事を聞くと、ヒナは横向きになって、スモーカーの肩に背中を預けた。
「貴方は麦わらの消息をどう考えているの?」
「・・・」
「生きてるわよ・・・きっとね」
ヒナの一言に、スモーカーは初めてヒナの方を向いた
「勿論確証は無くてよ。でも、あの一味なら、例えノックアップストリームで何処かへ飛ばされたとしても、しぶとく生きているんじゃなくて?ヒナ推測」
「・・・そうかもな」
スモーカーはそう言うと、ヒナの頭を片手で支えて自分の膝の上に乗せた。
「心配を掛けたな」
「いつもの事でしょ?ヒナ苦笑」
ヒナはそう言って苦笑を洩らすと、コートのポケットから小さな箱を取り出して、スモーカーに手渡した。
「?」
「貴方、自分の誕生日も忘れてしまったの?ヒナ驚愕」
ヒナはワザとらしく驚いて見せると、スモーカーもジャケットの内ポケットから小さな包みを差し出した。
「俺は、お前の誕生日も忘れてた様だ・・・」
そう言いながら照れ臭そうにしているスモーカーが、ヒナにはたまらなく愛しく見えて、スモーカーの頭を、半ば強引に引き寄せた。
「嘘おっしゃい。本当は今日わたくしが来る事を待っていたくせに・・・」
「・・・おめでとう」
「・・・誕生日おめでとう、スモーカー君・・・」
二人の唇が重なろうとしたその時、遠くからわざと大声を出したマシカク軍曹が走ってきた。
「大佐ー!!麦わらです!!麦わらの目撃情報ですー!!」
その言葉に二人はハッとして起き上がり、すぐさま自分たちの船へと戻って行った。

その後、船内で二人は、お互いに交換したプレゼントに目を丸くしていた。
スモーカーの手に握られているのは、プレゼントの意味を最近知ったばかりの新しいライター。
ヒナが手に持っているのは、巨大なダイヤの付いた指輪であった。


■終わり■


■あとがき■
ふぅ・・・何とかスモ様の誕生日には間にあいました。
今回は恋愛と言うよりは友情に近い恋愛物を目指してみました。
最後はいわゆるお約束って事で(笑)
ちなみにライターの意味は、
「ハートに火を点けて」
ですv
ヒナ嬢がいくら強い女性でも、やはり好きな男にはいつも自分の方を向いていてほしいんじゃないかな?と思って、今回の作品となりました♪




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