怪我の功名(ロビン×サンジ?) |
トップページ 利用規約 メニュー |
「うわぁぁぁぁぁ!!」
誰もが寝静まっていた明け方、サンジの叫び声によって、皆は一斉に飛び起きた。
「な!?何だ!?」
ウソップが飛び起きて辺りを見回すと、隣で眠っていたサンジが、自分の両手を見て、わなわなと震えていた。
「サンジ!?その手どうした!?」
同時に目を覚ましたルフィとチョッパーがサンジに近寄ると、サンジの両手真っ赤に腫れ上がり、赤黒いグローブの様になっていた。
「解んねぇ・・・さっき起きたらこんなになっていて・・・」
「昨日、何か変な物触らなかったか?」
最初は唖然として、口も聞けなかったチョッパーも、本来の医師としての本能に目覚め、明かりを近づけて手をまじまじと見つめた。
「昨日は・・・確か、見た事無い魚をおろした位で・・・」
「!?・・・その魚のアラは残っているか!?」
頷いたサンジと共にアラの入った桶を覗くと、其処には確かに東の海では見た事の無い魚が入っていた。
「!?・・・これ、ウルシウオじゃねぇか!?誰が釣った!?」
「俺」
手を挙げたのはルフィだったが、ルフィの手には、何の変化も見られなかった。
それは多分、ゴム人間の特性だろうと、後にチョッパーは言っていた。
「これはウルシウオと言って、皮に漆と同じ様なかぶれ成分があるんだ。
・・・良くお前は無事だったな・・・」
「あぁ、俺はともかく、サンジはどうなるんだ?」
ルフィは自分の事より、サンジが気がかりになって、チラリとサンジを見た。
「サンジの手は、治るのに一週間は掛かるな。」
サンジの手に薬を塗り、包帯を巻きつけながらチョッパーが答えると、ルフィとサンジは、同時に目を丸くした。
「じゃあ、飯は誰が作るんだよ!?」
サンジとルフィが口を揃えて言うと、ウソップが名乗りを挙げて、その場は収まった。
「朝の叫び声ってサンジ君だったの?
・・・それにしても、凄い手ね」
「白いミトンみたいね。でも、その手じゃ、日常生活にも支障が出そうね」
朝食の匂いに誘われる様に顔を出したロビンとナミの二人は、驚いた顔でサンジの両手を見つめた。
「痛くないの?」
「あぁ、さっき薬を飲んだから、痛みとかかゆみは無いんだけど、物凄く眠いんだ」
椅子に座って、朝食を作るウソップの指示をしながらも、サンジはかなり辛そうに見えた。
「サンジ、出来上がったから、もう寝て良いぞ?」
味の確認をしたウソップがサンジの方を見ると、サンジは半ば気を失った形で、眠りについていた。
「サンジが飲んだ薬は、強烈な副作用があって、飲むと猛烈に眠くなるんだ。
・・・まぁ、サンジは少し働きすぎだからな。丁度良いだろ」
チョッパーはそう言うと、サンジを抱えて食堂を後にした。
「・・・確かにサンジ君が一番働いているのよね。」
ナミのその一言に、皆は一斉に頷いた。
サンジはそれから寝たり起きたりを繰り返し、気が付けば既に5日が経過していた。
「あら、気が付いた?」
いつもの様に、薬を飲んで眠った後で目の覚めたサンジは、部屋を出て食堂へ向かうと、其処にはロビンが一人で本を読んでいた。
「あれ?ロビンちゃん一人?」
「えぇ、皆はお昼を食べてから買出しに行ったわ。」
ロビンはそう言うと、立ち上がってコーヒーを煎れ始めた。
「お腹すいたでしょ?長鼻君がサンドイッチ作って行ったわよ?」
サンジが椅子に座ると、ロビンは煎れたてのコーヒーを手に、サンジの隣に座った。
「ロビンちゃん?」
「今日は長鼻君が居ないから、私が食べさせてあげるわね。」
驚くサンジを横目に、ロビンはサンドイッチを手に取って、サンジの口元へと持っていった。
「はい、あーんして?」
いつもはウソップかチョッパーが両手の使えないサンジの世話をするのだが、目覚めた時間に丁度二人に感謝しつつ、ロビンの差し出したサンドイッチを口にした。
サンドイッチを食べながら、サンジは耳に妙な違和感を覚えた。
「ロビンちゃん、俺、耳がかゆいんだけど、ちょっと見てくれないかな?」
サンジが子犬の様な目で見つめると、ロビンは小さく笑って、サンジと甲板へ出た。
「ここなら明るいわね」
ロビンはそう言って床に座り込むと、サンジはロビンの膝に頭を乗せた。
「あら・・・随分耳垢が溜まってるわね」
そう言うと、ロビンは甲板に出る前に持って来ていた耳掻きを取り出して、サンジの耳掃除を始めた。
「何だかこうしてると、恋人同士みたいだね」
「そうね。傍から見ればそう見えるかしら?」
「・・・ロビンちゃん。・・・その、もしロビンちゃんさえ良ければ、本当の恋人に・・・」
サンジはその一言に顔を赤らめながら告白しようとしたその時、サンジの目の前に、抜き身の日本刀がチラついた。
「てめぇ・・・人が居ない間に何で俺の女口説いてんだよ」
「あぁん?誰がてめぇの女だって?この、クソマリモ」
ロビンの手が離れると同時に、サンジは立ち上がってゾロと対峙する形となった。
「だったら本人に聞いてみたらどうだ?」
いつもならとうに掴み掛かってる筈のゾロが、余裕に満ちた顔でサンジを見ると、サンジは恐る恐るロビンの顔を見た。
「・・・ロビンちゃん。・・・嘘だよね?」
「・・・ごめんなさい。」
申し訳無さそうにサンジの顔を見るロビンの顔を見た瞬間、サンジは真っ白になった。
「どっちにしろ、もう手も治った頃だろ?いい加減どけよ」
ゾロはサンジを押し退けると、当たり前の様にロビンの膝に頭を乗せて、昼寝を始めた。
「・・・サンジの奴、本当に気付いてなかったんだな。」
「ルフィでさえ知ってた事なのにね。」
昼下がりの甲板では、真っ白になったサンジを見て、囁きあうクルー達のささやき声が響くのみだった。
―おわり―
■あとがき■
お待たせしました。
まずは4万ヒットおめでとう御座います!!
最近年末の忙しさに追われてしまって、すっかりお待たせしました。
で、リクの内容通り
「ロビンに甘えるサンジ(撃沈編)」
を目指したら、自然とゾロロビになっていました(苦笑)
こんな物で宜しければ、謹んで進呈したいと思います。