素敵な片思い

(ゾロ・ルフィ)


嵐を回避する為にとある島に立ち寄ったルフィ達は、船の修繕をするウソップを置いて、皆好きな場所へと散っていった。
ゾロは島の探検をすると言うルフィに付いて街の裏側へと広がる森の中へと入って行った。
「なんかすげぇ所だな」
昆虫好きのルフィにとっては正に天国に来た様な心持ちで森の奥へと足を踏み込んで行く。
「おい、待てよ」
そんなルフィを心配そうに見ながらゾロはルフィの後を追った。

そんな中、不意にルフィが足を止めた。
「どうした?」
「しっ」
声を掛けたゾロを見て黙らせたルフィは、静かに茂みの中へと顔を突っ込んだ。
ゾロもまたルフィにつられる様に隣から首を突っ込むと、其処には小さな泉があり、その泉のほとりにナミとサンジの後姿があった。
寄り添う様に座っていた二人が突如見つめあい、唇が触れ合うその瞬間に、ルフィは静かにその場から姿を消した。

ルフィとゾロは黙って森の中を歩き続け、気が付くと海岸へと出ていた。
「ルフィ・・・」
ゾロが声を掛けると、ルフィは立ち止まった。
「・・・泣いておけよ」
その言葉を聞いたルフィの肩が小刻みに震えだした。
「・・・あいつらを恨むなよ。・・・あいつらだってきっと俺達に気を使って・・・」
「解かってるよ!!」
怒鳴るルフィの声が涙で滲んだ。
「解かってる・・・」
ゾロに背を向けて必死に涙を堪えるルフィを見たゾロは背中越しにルフィを抱いた。
「ゾロ・・・」
「泣いておけよ」

その瞬間、ゾロの腕へと涙の粒が落ちた。

「ありがとなゾロ、泣いたらすっきりした」
ゾロの腕に捕まって泣き続けたルフィが振り返った時には、目が充血している以外は、すっかりいつものルフィに戻っていた。
「たまには思いっきり泣く事も必要なんだって、この前チョッパーが言ってたからな」
ゾロはそう言ってルフィの頭に手を掛けた。
「・・・ゾロも片思いしてるだろ?」
ルフィの突然の発言に、ゾロは思わず赤くなった。
「な・・・何言って・・・」
「相手はあの女海兵だろ」
「んな訳無ぇだろ!!・・・誰があんなパクリ女!!」
図星を指されたゾロは真っ赤になってルフィを怒鳴りつけた。
「嘘つき」
ルフィの一言がゾロの胸に突き刺さり、ゾロは真顔になった。
「・・・例えそうだとしても、俺とあいつでは住む世界が違いすぎる」
「なんだ、ゾロも振られたのか。ししし・・・、俺達振られた者同士だな。」
「・・・お前と一緒にするな・・・」
楽しそうに笑うルフィを見て、ゾロの中で何かが切れ、気付くと刀を握り締めていた。
「やべぇ!!ゾロが切れた!!!」
刀を振り回して追いかけるゾロとルフィが島の外周を回って船に戻ってきた時には、既に深夜になっていた。
「あーあ、ゾロのせいで遅くなっちゃった」
口を尖らせて文句を言うルフィの頭をゾロはげんこつで殴った。
「お前がくだらねぇ事言うからだろ!!」
殴られた部分を摩りながら、振り返ってルフィは笑った。
「それもそうだな」
「・・・ったく」
いつしか二人の顔には笑顔が戻っていた。
「さぁ、戻ろうぜ」
そして二人は、自分達の帰るべき場所へと戻って行った。

―終わり―


■あとがき■
意外に今回はあっさりと話が書けて、本人とてもビックリしてます。
今回は相棒としてのゾロルと言う事でしたので、あえて二人共ノーマルと言う設定で書いてみました。
考えると、振られネタは初めてなんですよね私。
でも、ルフィファンのリクエストに対してルフィの振られネタを書いた私って一体・・・(汗)
ひぃ〜許して〜って感じで今回は書き逃げ!!
こんな物で宜しければ貰ってやって下さい!!(そして私は逃げる)




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