偽りの中の真実(ゾロ×たしぎ) |
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これは、ルフィ一行が、空島から戻ったばかりの頃のお話。
ルフィ達を見失ってから、たしぎはすっかり元気を無くし、他の海賊達からどんな名刀を入手しても、興味を持てなかった。
そんな中、上司のスモーカーは、たしぎに休暇を取らせ、リゾートで有名な島に停泊した。
たしぎは生きる気力を無くしたかの様にぼんやりとスモーカーの言葉を聞いたが、上司の気遣いに感謝し、用意されたホテルに向かう事にした。
その頃のゾロは、偶然にも同じ島の裏側に停泊したばかりで、空島での攻防戦で、すっかりボロボロになった刀を研いでもらうべく、島の繁華街を目指していた。
この時を奇跡と言わずなんと言おうか
ゾロは迷わずに鍛冶屋の元へ向かい、代刀を一本借りると、迷わずに街へと向かうことが出来たのだ。
ゾロが街へ着く頃には昼を少しすぎていて、昼食を取ろうと余所見しながら歩いていると、路地の角で、柔らかな物とぶつかった。
「あ・・・ごめんなさい」
「いや・・・悪い」
ぶつかった拍子に路地の隅に飛んでいった眼鏡を拾って、相手に渡そうとしたその時、ゾロの顔は真っ青になった。
「げ・・・」
危うく握りつぶしそうになった眼鏡を手渡したその相手は、たしぎ本人だった。
「あ、ありがとうござい・・・ま・・・え・・・?」
眼鏡をかけたたしぎは、一瞬驚いた顔をしたが、腰の刀を見た途端、落胆の色を明らかにした。
「・・・ごめんなさい、あやうく人違いするところでした」
そう言って頭を下げ、がっかりと去ろうとするたしぎの肩を、ゾロは思わず掴んでしまった。
「あ・・・あの・・・良かったら、飯でも食わないか?・・・その・・・ぶつかったお詫びだ」
今にも倒れそうな様子のたしぎを放っておけない感情にとらわれたゾロが思わず声をかけると、たしぎは意外すぎる程あっさりと付いて来た。
自分の腕に自信のある表れだろうが、人違いだと思われた上に、人の誘いにあっさり付いて来たたしぎに嫉妬にも似た苛立ちを覚えつつ、ゾロは近くにあったオープンカフェへと入った。
「好きな物頼めよ」
自分の分を注文したゾロが言うと、たしぎはコーヒーだけを注文して、小さなため息をついた。
「軽い女だと思ったでしょうね」
たしぎはそう言うと、悲しげな笑みを浮かべた。
「・・・」
ゾロは心の中を見透かされた様で視線を落とすと、丁度良いタイミングで昼食が運ばれてきた。
「・・・貴方、私の知ってる人にそっくりだったので、てっきりその人かと思ってしまったんです。」
たしぎはそう言うと、いただきますと言った後でコーヒーを口に運んだ。
「・・・そいつは、どんな奴なんだ?」
完全に別人だと思われている事を確信した後、ゾロはたしぎの真意を聞きたい衝動に駆られ、いけないと思いつつも、質問をぶつけた。
「・・・その人、私が死んだ親友にそっくりだから気に入らないと私に言いました。」
「・・・」
「私は最初、私の知らない人とそっくりと言われても迷惑なだけだし、私の人格を否定された様で、本気でその人を憎みました・・・でも・・・」
「・・・出よう」
これ以上の話を他の客に聞かれたくなかったゾロは、たしぎと共に、人気のない埠頭へと向かった。
「でも・・・その人の消息がある日突然不明になって、情報によると海難事故にあった可能性が高くて・・・そんな中貴方に会って、私はやっとその人の気持ちが解って・・・そしたら何だか急に・・・ごめんなさい・・・」
たしぎはそこまで言うのがやっとの様子で、言い終えた途端に泣き崩れてしまった。
「・・・すまない、余計な事を聞きすぎた」
ゾロが屈んでたしぎに声をかけると、たしぎはゾロの胸に飛び込んだ。
「ごめんなさい・・・少しで良いです・・・このまま泣かせて・・・くだ・・・さい・・・」
ゾロがきつく抱きしめると、たしぎは涙が枯れ果てるまで泣き続けた。
「すいません、関係のない話に付き合っていただいて」
腫れ上がった瞳のまま、たしぎが頭を下げると、ゾロは首を横に振った。
「・・・そいつはきっと生きてるよ」
ゾロは、赤くなった顔を見られない様に、たしぎに背を向けて言った。
「え?」
「そして、パクリだって言った事を後悔してると思うぜ・・・あと・・・そいつがあんたの顔を見るとすぐ逃げるのは、きっと怖いんだよ・・・憎しみをぶつけられるのが・・・それと」
ゾロは言いかけた口を一旦つぐんで歯噛みした後、意を決して口を開いた。
「そいつは怖いんだよ・・・あまりにも似た人にあって・・・心の内を打ち明けたら、また目の前から消えちまうんじゃないかって・・・!?」
言い終えた瞬間、背中から抱きつかれ、ゾロは驚きで硬直した。
「私は死にません・・・私は私です・・・生きてたんですね・・・ロロノア・・・ゾロ」
「パクり・・・あ、いや・・・たしぎ・・・いつ気付いた・・・」
「私、そんなに詳しい話はしていませんよ・・・」
ゾロの背中が段々と熱くなっていく、たしぎが赤面した顔を押し付けているからだとゾロは思った。
「良かった・・・生きてた・・・」
腹部に回された腕が震え、背中に熱い物を感じると、ゾロは体の向きを変え、泣いているたしぎを抱きしめた。
「大剣豪になる前に、・・・お前を残して・・・死んでたまるか」
「ゾロ・・・」
夕焼けが二人を包む中、二つの影が一つになった。
―終わり―
■あとがき■
終わった♪
今回は、メールにてリクをいただきまして、ビックリしましたが、嬉しかったです、ありがとうございました♪
今年は多忙なのでリクは全部お断りするつもりだったのですが、文面から気持ちがひしひしと伝わり、かなり感動したので、私なりにかなり考えて書きました。
たしぎとゾロだと、どうしても敵対関係が先に出てしまうので、素直にさせるにはどうしたらと考えた末に思いついたのは、たしぎの天然ボケでした(^_^.)
今回は、本当に健全を目指したので、恋愛とも友情とも取りがたい部分もありますが、喜んでいただければ幸いです。