DESERT MOON

(サンジ×ビビ)


アラバスタでの内戦が終わり、意識を取り戻したルフィ達との別れの時は、着々と近づいていた。
「サンジさん、ちょっといいかしら?」
厨房で、給仕長であるテラコッタと話をしているサンジに、ビビは声を掛けた。
「あ、ビビちゃん・・・」
別れが近い事もあり、サンジも心なしか元気が無かった。
「・・・出発まで、少し付き合ってもらえないかしら?」
テラコッタに料理を教えてもらっている事に気付いたビビが遠慮がちに言うと、テラコッタがサンジの背中を黙って押した。
「テラコッタさん・・・」
「残りの料理は出発までに私がメモしておくから、たまには2人でゆっくりしてらっしゃい」
テラコッタはそう言って2人にウインクすると、さっさと厨房の奥へと入って行った。
「・・・じゃあ、行こうか」
二人は、らくだにビビを横座りにして乗せ、自分がその後ろに乗ると、宵闇の宮殿を後にした。

宮殿に程近い砂漠に来た二人はらくだに乗ったまま、初めての夜の散歩を楽しんでいた。
「寒くないか?ビビちゃん」
サンジが声を掛けると、ビビは首を小さく横に振った。

「あのね・・・今から言う事を黙って最後まで聞いてほしいの」
宮殿を出てから今まで一言も喋らなかったビビは、下を向いたまま呟く様に言った。
「あ、あぁ、解かった」
サンジの返事を聞くと、ビビは下を向いたままで口を開いた。
「・・・あのね、私・・・サンジさんの事がずっと好きだったの・・・でも、サンジさんのナミさんへの気持ちは解かっていたから黙っていようと思ったけど・・・今言わないともう・・・!!」
ビビが全てを語り終える前に、サンジはビビを抱き締めた。
「・・・!!」
突然の出来事に、ビビは動く事も、声を出す事も出来なかった。
「逆だよ、ビビちゃん・・・」
「え?」
「俺が本当に好きなのは君だよ」
ビビが驚いて振り返ろうとすると、サンジはビビの頭を自分の肩に押し付けた。
「・・・ごめん・・・今は・・・見ないでくれ・・・」
ビビは、サンジの肩に顔を埋めたまま頷いた。

二人の時間はあっと言う間に過ぎ去り、何時しか出発の時刻が近づいていた。
「サンジさん・・・私、此処で貴方を待っていても良いですか?」
「・・・」
ビビを抱き締めたままで、サンジは涙を拭った。
「貴方がオールブルーの存在を信じる様に、私は此処で貴方を信じて待っていても良いですよね?」
「もう・・・決めたのか?」
「はい」
迷いの無いビビの答えにサンジは初めてビビの体を放した。
「必ず迎えにくるよ。だから、それまでにこの国をちゃんと直せよ。ビビ」
「サンジさん・・・」
初めてサンジに呼び捨てにされたビビは、恥ずかしそうに下を向いた。
「俺が帰ったら、結婚してくれるか?」
その問いに対し、ビビは耳まで赤くなりながらも、しっかりと頷いた。
「愛してるよ・・・ビビ・・・」
砂漠の月明かりの元、二人は永遠の誓いを果たした。

―終わり―


■あとがき■
終わりました・・・。が!!・・・何だか最後が解釈のしようによっては、 様々に意見の分かれる様な終わり方にしてしまいましたが、まぁ、それはそれでOKでしょう(良いのか?)
こんな物で宜しければ、のし付きで差し上げます。




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