プリンとマシンガン

(サクラ大戦)

エリカが日本の地を訪れて、早数ヶ月。
すっかり日本での生活に慣れたエリカは、今日ものんびりと、食堂で大好きなプリンを頬張っていたのだが・・・

「!!!!?・・・いやー!!」
エリカの悲鳴と共にけたたましいまで銃声が場内に鳴り響き、大神を始めとした関係者が一斉に食堂に向かうと、そこは爆弾でも落ちたかの様な、凄まじい光景となっていた。
「え・・・エリカ君・・・これは一体・・・」
皆が呆然とする中、大神がやっとの思いで口を開くと、エリカは何事も無かった顔でこちらの方を向いた。
「あ、大神さん。聞いて下さいよー!エリカが折角プリンとの楽しい一時を楽しんでいたのに、ゴキブリがいきなりエリカのプリンに・・・」
「・・・それで銃を乱射したのかい?」
「はい!おかげでゴキブリは無事駆除出来ましたよ♪」
「・・・馬鹿もーん!!」
あっけらかんとしたエリカの物言いに、米田の怒りが爆発し、エリカは小一時間支配人室にて説教をされた。

「あ、戻ってきたで」
エリカがフラフラと食堂へ戻ると、其処には片付けをしていた帝劇と巴里の花組の面々が、一斉に顔を上げた。
「・・・全く・・・ここが普通の劇場なら、窓ガラスも全壊だったでしょうね・・・」
「全くだ・・・エリカが一人になると、ロクな事をせぬわ」
マリアとグリシーヌがブツブツ言いながら散らばった木片を拾い終えると、エリカと顔を合わせない様にして、さっさと食堂を後にしてしまった。
「・・・皆さん、すいません」
エリカが泣きそうな顔で謝ると、大神と紅蘭の二人がエリカの傍に寄り、厨房へとエリカを連れて行った。
「ご・・・ごめんなさい・・・」
3人だけになると同時に、エリカの瞳からは、大粒の涙がポロポロとこぼれ落ちた。
「大神はん、ここはうちに任せて、片付けを手伝ってくれへんか?」
その言葉に大神は小さく頷くと、静かに厨房を後にした。
「なぁ、もしかして、さっきのマリアはんとグリシーヌはんの態度が気になってるんか?」
傍にあった椅子にエリカを座らせた後、紅蘭が静かに聞くと、エリカは無言で頷いた。
「二人が出て行ったのはな、顔を見ると、どうしても説教したくなるから顔を見ずに出て行って、頭を冷やしてるんやと思うで?米田はんに説教されたばかりやのに、これ以上説教されたら堪らんやろ?」
その言葉を聞いた途端、エリカの顔がパッと明るくなったかと思うと、再び号泣してしまった。
「!?今度は何や!?」
「・・・マリアさんとグリシーヌさんの心遣いに・・・エリカ感動ですー!」
エリカはそう言うと、今度は大声で泣き出してしまい、その声は、隣の食堂にまで筒抜けになってしまった。
「紅蘭、この馬鹿が、また何かやらかしたか!?」
その声を聞きつけた一同が一斉に駆けつけ、ロベリアが声を掛けると、紅蘭は苦笑しながら、事の顛末を話して聞かせた。
「・・・まったく、人騒がせだなぁ、エリカは」
「でも、怪我人が一人も出なくて本当に良かったわ」
「全くだ。食堂にエリカしか居なかったのが不幸中の幸いだな」
コクリコが呆れて言うと、先程の二人が、笑顔でそう言うと、エリカは一層大きな声で泣き出してしまった。
「これは当分そっとしておいた方がええわ、皆片付けしよ」
紅蘭がそう言って、皆と共に食堂に戻ると、皆は何事も無かった顔で作業に戻って行った。

深夜、片付けを終え、寝静まった紅蘭の部屋をノックしたのは、意外な人物だった。
「あれ?どないしたんや、3人揃って・・・」
キョトンとする紅蘭の目の前には、マリアとグリシーヌ。そして大神の姿があった。
「今日の礼を言いに来たところ、丁度この二人とでくわしてな・・・」
サロンに場所を移した4人が腰を掛けたところで、グリシーヌが恥ずかしそうに頬を赤らめながら口を開いた。
「で、結局皆、同じ用事だったって事で、3人で寄らせてもらったのよ」
マリアがグリシーヌの言葉を引き取ると、紅蘭も、ようやく合点がいったと言う顔になった。
「大変な役目を押し付けた形になって、ごめんな、紅蘭」
大神が最後に謝ると、紅蘭は静かに首を横に振った。
「物を壊されるのは慣れとるし・・・それに、物は壊れても再利用出来るやんか。でも、人間関係は、一度壊れたら、中々直せへんし、かと言って別の人間関係を築く訳にもいかん・・・うち、皆にはいつも仲良くしてもらいたかっただけなんや。」
紅蘭はそう言うと、一息ついて、再び口を開いた。
「エリカはんのやった事は、たしかにいけない事やし、うちも、薪にされる椅子やテーブルを見て腹が立たなかったと言えば嘘になる。けどな、エリカはんかて、決して悪気があった訳じゃないからこそ、文句を言いながらでも片づけを手伝ってくれる皆を見たら、怒りもどっか行ってしもうたわ。ははははは」
「そうだな・・・だが、改めて巴里華激団の一員として、礼を言わせてもらう。ありがとう」
「嫌やな・・・ちょっと、あめてんか、うち、そないな事されたら、恥ずかしいわ」
グリシーヌに頭を下げられて、困惑する紅蘭を、大神とマリア。そして、物陰から米田が微笑ましく見守っていた。

―終わり―

■あとがき■
ふぅ・・・何とか終わりました♪
今回は最初、紅蘭とエリカの掛け合いを書きたくて書き始めたんですが、何時の間にか全員が絡んだ友情物になってしまいました(^^ゞ
マシンガンネタは、ズバリ!サクラ大戦物語のパクリです(滝汗)
あれを見ていたら、エリカならやりかねないなと素直に納得した事もあって、今回のネタにさせて頂きましたが、文句を言うのはすみれか織姫でも良かったかなぁとも思ったりしてますが、これはこれで良しとしておいて下さい(^^ゞ

最後になってしまいましたが、けむりんへのプレゼント、いつもありがとう御座います♪
こんな奴ですが、これからも、けむりん共々、宜しくお願い致します。


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