永遠

(風雲カブキ伝/世阿弥)


この肉体になった瞬間、これで永遠の幸せが手に入ったと思った
この選択が、とてつもない過ちだと気付かずままに・・・

その城を訪れたのは、ある暑い夏の日の夜の事だった。
私はドルイドの僧達の目を盗んでこの悪魔に魅入られた城に入り、自らも悪魔に身を委ねた。
そして僧侶としての責務を忘れ、その城に住む三人の娘達と共に、快楽に身を任せる生活を暫く続けていた。

そんなある日、ふと思い立って街へ出た私は、信じられない光景を目にする事となった。
それは、此処へ来る前に見た街並みとは打って変わった死者の街。
私はそのおぞましい光景を目にして初めて自分の冒した過ちに気が付いたが、時は既に遅く、私は無限の時間と引き換えに、人間としての尊厳と言う貴重な宝物を失った事に深く絶望し、己を見つめ直す為・・・そして、この悪夢の連鎖を断ち切る為にジパングに伝わる伝説の火の勇者を捜す為に、誰にも知られぬ様に、一人倫敦を後にした。

そして京の嵯峨野にある古寺で、ジパングの僧侶の真似事をして時を待ち、そしてついに待ちつづけた方にお会い出来ました。

彼と旅を続ける内に、私は何時しか無くしていたと思っていた人間としての感情を取り戻し、そして・・・
私には最後を見届ける必要は無かった。
何より私の頬を伝うカブキさんの涙が、これから先の苦難に立ち向かう覚悟を私に示してくれたから・・・

私に人間としての最後を迎えさせてくれたカブキさん・・・
本当に、ありがとう

―終わり―


■あとがき■
今回は、自分でも何が書きたかったのか良く解らなくなってしまいました。
「永遠」と言うテーマで、最初に思いついたのが世阿弥だったんですが、本人の言う通り、自分だけ歳取らないってのは、ある意味凄い怖い事だと思います。
良い例が「浦島太郎」でしょうね。
自分だけが歳を取らずに、戻ってみたら300年も経っていたという。
今回の話もそれを再現したかったのですが、天外の話を総合すると、世阿弥が不死身になってから、そんなに年数が経っていない事に気付きまして、この案はボツとなり、今回のお話となりました。
しかし天外は、話がしっかり出来ているだけに、逆に話が作り難いですね・・・
でも、また懲りずに何か書きます。




Copyright(C)青海物語