手袋

(サクラ大戦/マリア・カンナ)


初夏の日差しが照りつける中、衣裳部屋ではカンナとマリアが衣装のチェックを行っていた。
「こうやって見ると、結構痛みの激しい服も多いわね」
「特に、あたいとすみれの衣装なんか、もうずたぼろだもんな、ははははは!」
「全くよ。もう少し衣装を大事にしてくれないと困るわね」
マリアの一言に、しまったと言う表情をありありと浮かべると、マリアはクスクスと笑い出した。
「そんなに笑うなよな・・・まったく・・・」
カンナがバツの悪そうな顔でマリアを見ると、マリアはカンナに背を向けて、必死に笑いを堪えていた。
「・・・お前、大神さんが来てから変わったよな」
「・・・」
そんなマリアを見たカンナがポツリと呟くと、マリアは笑いをピタリと止め、カンナを見た。
「私、やっぱり変わったかしら?」
「あぁ、良い意味で変わったと思うぜ?最初会った時は、気に入らない事言うと、射殺されるかと思う位怖かったもんな、お前」
カンナはそう言うと、床に落ちていた手袋を手に取り、マリアに手渡した。
「さくらが言ってたぜ、シンデレラの時と愛ゆえにの時で、マリアさんの手の暖かさが違った気がするってな。でも、それはさくらの気のせいなんかじゃなくて、きっとお前が変わり始めたのを、さくらが感じ取っていたからなんだろうな」
「・・・そうね。・・・大神さんに会うまでの私は、結局誰も信じていなかったのかもしれない」
マリアはそう言って手袋を受け取ると、その純白の手袋をマジマジと見つめた。
「あ、間違えた。お前が今度するのは・・・・こっちだ」
その様子を見ていたカンナがハッとした顔でそう言うと、部屋の隅に置かれた大きな箱から、小さな箱を差し出した。
「これは?」
「隊長から預かってたんだ。大神さんが出張から戻ってくるまでに、サイズを確かめておいてくれってさ。・・・へぇー、これが引退公演の衣装かぁ・・・」
小さな箱には、白の手袋。
そして、大きな箱には、純白のドレスが入っていた。
カンナはしみじみとそう言うと、箱を持って部屋の中央へと戻ってきた。
「おめでとうマリア。お腹が目立つ前に、これ着てさっさと引退しちまえよな」
「ありがとう・・・でも、カンナまで一緒に引退する事無かったのに・・・」
「良いんだよ、一緒に入団したんだ、一緒に辞めようぜ」
カンナはそう言ってニッコリと笑うと、マリアの首に腕を絡めた。
「さ、早く直して稽古に入ろうぜ。・・・最初で最後のヒロインなんだ、トチるなよ?」
「ふふふ、カンナこそ、最後の舞台なんだから、衣装を破かないでよね」
二人の笑い声が響く帝劇内は、いつにも増して、平和と愛に満ち溢れている様だった。

―終わり―


■あとがき■
ははははは!
サクラはもう書かないとか言っておきながら、また書いてしまいました(^^ゞ
今回のお題ですが、最初ワンピで書くつもりだったんですが、急にマリアとカンナの友情物が書きたくなって書いてしまいました。
これは、以前同人誌で書いた
「4終了後のヒロイン達」
の、マリアバージョンと言った感じで書いてまして、あえてマリアのトレードマークとも言える赤い手袋を書かずに、花嫁がする白い手袋をメインに持って行きました。
やっぱ、たまーにサクラを書くと、とても楽しいので、これからもこっそり増やすかも知れません(^^ゞ




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