他人事

(サクラ大戦/すみれ)


その日、帝劇内部にて、アイリスの大事にしていたと言うブローチだ無くなったと騒ぎになった。
「アイリスのブローチー・・・」
場内を隈なく探し回って疲れきったアイリスを横目に、すみれはいつもと変わらず、サロンで紅茶を飲んでいた。
「すみれさん!アイリスが困っている時位、手伝ってあげたらどうなんですか!?」
すみれはすぐ横に来て怒鳴るさくらを横目一瞥した後、おもむろに立ち上がった。
「さくらさん。私は公演が終わったばかりでとても疲れているの。第一アイリスがブローチを無くしたのは、アイリス自身のミスではなくって?そんな事にいちいち私を巻き込まないで下さいな。」
すみれはさくらの目を真っ直ぐに見据えて言い放った後、自分の部屋へと戻ってしまった。
「なんだあいつ、相変わらず感じ悪いな」
修行から戻ってきたばかりのカンナがすみれの去って行った方を見ながら呆れた顔で言うと、一階から大神とマリアの二人が上がってきた。
「何の騒ぎだ?」
大神が怪訝そうに聞くと、さくらはアイリスのブローチが無くなって、すみれにも捜すのを手伝えと言ったら、怒られたと話した。
「・・・確かにすみれの言う事にも一理あるわね。今はすみれが主演の舞台なだけに、すみれにはベストな状態でいてもらわないと・・・」
「そうやな・・・。まぁ、これだけ人数が居れば、何とか見つかるやろ。うちらだけで頑張ろ!」
場を和ませる様な紅蘭の物言いに、皆は頷くと、今度は大神とマリアも加わって、ブローチを探し始めた。

「・・・あれー?ほんまに何所いったんやろ?」
館内はもとより、作戦司令室や格納庫まで探したのに、ブローチは見つからず、瞬く間に夜中になってしまった。
「これだけ捜しても見つからないなんて・・・」
数日前にロケットを無くしそうになったマリアも、他人事とは思えない表情でアイリスを見た。
「とにかく今日は一旦解散して、明日また探そう。・・・ごめんなアイリス」
屈んでアイリスに詫びを入れる大神を見て、アイリスは、首を横に振った。
「落としたのはアイリスが悪いからなの・・・皆、捜してくれてありがとう。」
アイリスはそう言い残すと、ジャンポールを抱えて部屋に戻り、皆も同様に部屋へと戻っていった。

皆が寝静まった深夜。天井から聞こえる足音に気付いた大神は、気配を消して屋根裏へ向かった。
暗がりに目を凝らすと、天窓から洩れる明かりの下に、うっすらと人影が見えた。
「誰だ!!」
大神は後ろに隠していたライトを点けて、人影の方へ向けると、其処には驚いた顔のすみれの姿があった。
「すみれくん・・・?」
驚いた顔で大神が近寄る頃には、すみれはすっかりいつもの冷静さを取り戻していた。
「あら、こんな時間に何の御用ですの?少尉」
「それはこっちが聞きたいよ・・・どうしたんだい?こんな時間に・・・」
すみれは、月明かりを頼りに、何かを探していた様子だった。
「もしかして、アイリスのブローチを・・・?」
「な!・・・何をおっしゃっているの?私はただ、月が綺麗だから、つい見晴らしの良い所で見たくなっただけですのよ. おーっほっほっほ」
すみれは片手を頬に当てるポーズをして笑うと、すみれの足元で何かが輝いた。
「すみれくん。足元!」
すみれが足をずらすと、其処にはアイリスのブローチが月明かり に反射して光っていた。
「・・・すみれくんのおかげだな」
「な・・・私はただ・・・」 「君が月見に来てくれたおかげで見つかった・・・違うかい?」
大神の一言に、すみれは赤くなって視線をそらした。
「そのブローチは、少尉が返しておいて下さいな。では、私はこれで失礼致します。」
すみれはそう言うと、いつもより少し軽い足取りで、階段を降りて行った。

翌日、大神からブローチを受け取ったアイリスは数日後、すみれと二人で仲良く出かけて行った。

―終わり―


■あとがき■
ふぅ・・終わった♪
今回はすみれさんとアイリスの友情物みたいになってしまいましたが、いかがでしたでしょうか?
すみれさんて、普段は冷たいけど、皆が知らない所でいつも努力してますよね。
私はすみれさん結構好きなんですが、すみれさんって、好き嫌いがはっきり別れるタイプでしょうね(苦笑)




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