ワイン

(ワンピース/スモーカー×サンジ)


ここは、とある島。
夕食を終えたサンジが、珍しく一人で酒場に赴き、女性を物色するでも無く、カウンターで酒を飲んでいると、隣に一人の男が座った。
「こいつと同じものを」
サンジを眼顔で見て指し示すと、マスターは、何も言わずに、同じ物をカウンターに置いて、その場を離れた。
「・・・俺を捕まえに来たのか?」
「今日は非番だ。やすみの日にまでてめぇらに構っていられねぇよ」
サンジが不機嫌そうな目線を送った先には、海軍大佐のスモーカーの姿があった。
「ふん・・・なら、何故俺の隣にわざわざ座る?」
「どこに座ろうが、俺の勝手だ」
「ここに居たのがルフィなら、てめぇの態度も変わっていただろうが、残念だったな」
スモーカーは冷たい視線をサンジに投げかけた後、酒を一気に飲み干した後、勘定を置いて席を立った。
「待てよ」
不意にサンジが声をかけて腰を浮かせると、スモーカーが立ち止まって振り返った。
「何だ」
「・・・どこへ行くんだよ」
「腹が減ったんでな、飯を食いに行くだけさ」
そう言うと、何を思ったのか、サンジの分の勘定もカウンターに置いた。
サンジは黙ってスモーカーに続いて店を出た。
「・・・何が食いたい」
サンジの言葉に足を止めたスモーカーは、再びサンジの方を向いた。
互いににらみ合う形になった後、スモーカーは葉巻を取り出し、二本口に咥え、ゆっくりと息をついた。
「・・・美味いワインが飲みたい。それに合う料理を作れ」
半ば呆れた様にサンジを見るスモーカーの視線に不敵な笑みを浮かべると、二人は商店の立ち並ぶ繁華街へと向かった。
ワインと食材を買った二人は、そのまま街外れにある貸し別荘へと向かった。
「・・・俺を足止めして、仲間を救おうとしているのか・・・健気なものだな」
「俺は腹が減ったと言う奴を放っておけないタチなんでな」
食前酒代わりに出されたビールを口にしながら、スモーカーがサンジに声をかけると、サンジはそう答えつつも、耳がほんのりと赤らんでいた。
「ふん・・・まぁ、東の海でも指折りのコックの料理だ、期待させてもらおうか」
ソファーに腰を下ろし、着ていたジャケットを脱ぎ捨てたスモーカーは、素直にサンジの料理を期待する様にぼんやりとサンジの後姿を眺めていた。
「出来たぜ。席につけよ」
言われるまま席につくと、ワインと共に前菜が運ばれた。
「・・・てめぇの分はどうした」
「これ、フルコースだぜ。俺は最後まで料理してるに決まってるだろうが」
眉間にしわを寄せ、サンジを見ると、サンジもまた、スモーカーを見返す。
「・・・全部出来てから呼べ。俺はテラスに居る」
そう言うと、スモーカーは踵を返してテラスへと出て行ってしまった。
「・・・本当に我侭なオヤジだな」
サンジと共に食事をと言う意図が見え見えな態度に、サンジは嬉しそうに苦笑を洩らしつつ、急いでキッチンへと戻り、自分の分も含めた夕餉の準備に追われた。
「おい、出来たぜ」
テラスでずっと外を眺めていたスモーカーに声をかけると、スモーカーは小さく頷いた後、部屋へと入ってきた。
「・・・さすがだな」
ワインを飲みながら、サンジの作った料理に舌鼓を打ったスモーカーの感想はこれだけだったが、サンジにとってはそれだけで十分だった。
「もっと飲めよ」
サンジはやたらとスモーカーに酒を勧め、スモーカーは言われるままに飲み続けた。
「・・・そんなに心配しなくとも、俺は約束は守る」
顔色一つ変えずにスモーカーがそう言うと、サンジは首を横に振った。
「そうじゃねぇよ・・・酔わせたいんだよ・・・あんたを」
「・・・酔わせてどうする?」
「心まで酔わせたら、理性なんかぶっとんで、素直になってくれるんじゃねぇかと思ってな」
「・・・サンジ」
「初めて会った時から、ずっと気になってた。ただ、あんたの目的はあくまでルフィだからな・・・だが、俺はチャンスはモノにするぜ」
サンジは立ち上がると、おぼつかない足取りで、スモーカーの椅子に手をかけた。
「・・・さっき気付いた。あんただって俺が欲しい。違うか?」
「・・・」
「・・・もっと飲めよ。理性無くして、正直になるまで飲ませるからな」
「・・・」
スモーカーは残っていたワインを口に含むと、そのままサンジの頬を掴んで、唇を押し付けた。
その日、サンジはメリー号へと帰る事は無かった。

「行くのか?」
「あぁ、休暇は終わりだ」
朝日が差し込むベッドルームでは、早くもスモーカーが服を着込んでいた。
「そうか・・・」
ベッドから半身を起こしたサンジがタバコを咥えると、スモーカーが持っていたライターで火を点けた。
「また、連絡する」
そう言って出て行くスモーカーの背中を眺めていたサンジが、不意に口を開いた。
「スモーカー」
スモーカーがドアに掛けた手を離して振り向くと、サンジが何もつけぬ姿のまま、近づいてきた。
「本気にさせたんだ。キッチリ責任取れよ」
スモーカーは穏やかな笑みを浮かべて、サンジの顔にかかる髪をかき上げた。
「あぁ、近いうちに・・・またな・・・」
互いに咥えていた葉巻とタバコを外すと、二人は名残惜しそうに口付けをした。

―終わり―


■あとがき■
えー、かなり久々に更新したにも関わらず、かなり濃いネタで申し訳ないです(^_^.)
今回はワインと言う事で、サンジの話にしようとは思っていたのですが、ふと表でスモサン書いてないじゃんwと思い出しまして、スモサンにしてみましたが、サンスモっぽいな、これ(^_^.)まぁ、どっちでも良いですw で、今回のコンセプトは、ズバリ「ギリギリ」
表の限界ギリギリでの大人の恋愛を表現したくて、この様な感じになりましたが、感想などいただければ嬉しい限りです。




Copyright(C)青海物語