即席(ワンピース飛び出せ海賊団/ゾロ・たしぎ+スモーカー・ロビン) |
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「・・・こいつとかよ」
「それは、こっちのセリフです。」
露骨に嫌そうな顔でたしぎを見ると、たしぎもまた、不本意そうにゾロを睨み付けた。
「折角決着つけられると思ったのに・・・」
ムッとしたまま地図を受け取ると、ゾロの方へと向き直った。
「ペアになってしまった以上は仕方ありません。行きますよ」
「・・・」
ムッとしたまま居なくなる二人を、不安そうに見つめるのは、スモーカーとロビンのペアだった。
「・・・不安だ」
「あの二人じゃ、間違いなく遭難するわね」
二人の額に、冷や汗が一筋流れると同時に、二人はゾロたちの消えた方向へと駆け出して行った。
「・・・まさかてめぇとペアになるとは思わなかった」
「ふふっ、ゲームなんだから、いがみ合いは無しにしましょう。・・・それよりあの二人・・・」
「・・・あぁ、やはり予想通りになったな」
二人が通りに散らばったカードを拾いながら森を進むと、案の定喧嘩をしていた。
「だーかーらー、別々に行動すれば良いじゃねぇか!」
「それだと貴方が戻って来られるか心配じゃないですか!不本意ながら、今はペアなんですよ!?もっと相手の事も考えなさい!」
「パクリなのは、顔だけじゃなさそうだな・・・」
「なんですって!!?」
たしぎが腰の刀を抜こうとした瞬間、たしぎの腹部から生えた手が、刀の柄を押さえつけた。
「!?」
「切りかかる相手を間違えてるわよ」
たしぎが驚いて辺りを見回すと、背後でロビンとスモーカーが呆れ顔で二人を見ていた。
「どうして貴女達が・・・」
「方向音痴で有名な二人が、よりによってペアになったんだ。勝負にならないだろ」
二人の言葉に、ゾロとたしぎは、黙って歯噛みするしかなかった。
「それに、この先にはカードは一枚も無いわよ。どこを目指していたの?」
ロビンの問いに、ゾロがしぶしぶと地図を出し、目的地を指差すと、正反対の方向だった。
「反対の方向ね。今居るのは此処だから」
その言葉に、たしぎとゾロは、呆然と顔を見合わせた。
「・・・話にならんな」
「後を着いて来て正解だったわ」
呆れた口調の二人の言葉を聞くと、ゾロはたしぎの顔を睨み付けた。
「大体お前がこっちだって言うから!」
「何を言ってるんですか、貴方がどんどん歩いて行ってしまったんじゃないですか!」
「・・・いい加減にしろ」
顔を突き合わせて喧嘩を始めた二人の間に入ったのは、スモーカーだった。
「・・・いくら即席のペアとは言え、お前ら今はパートナーなんだろうが、何故協力しようとしないんだ」
「・・・・・・」
スモーカーの言葉に、二人は黙って俯いた。
「ハンデ付の勝負は好きじゃないから、貴方達には、カードの多い地域まで案内してあげる。それで良いわね?」
ロビンがそう言ってスモーカーを見ると、スモーカーは黙って頷いた。
その後、ロビンに案内されたたしぎとゾロの二人は、それでも何とか協力してカードを集め。ロビンの付けた目印をたよりに、港まで戻ってきた。
結果はスモーカー・ロビン組の圧勝。
ゾロは、レベルの差を見せ付けられたショックで、フラフラと港の外れまで歩いて行った。
「・・・負けちゃいましたね」
港に座って酒を飲んでいたゾロに声をかけたのは、たしぎだった。
「あぁ、負けたな」
「種目が悪すぎましたね」
「あぁ」
「・・・」
「ん?」
急に黙り込んだたしぎの顔を見ると、たしぎは両膝を抱えて海を見ていた。
「・・・いつか、あの人たちを越えられるのかしら。・・・戦いでも、・・・人間としても」
「・・・さぁな」
ゾロはそういうと、ゆっくりと立ち上がった。
「俺達はまだ若いんだ、あがいていれば、いつかなれるんじゃないか?あいつらみたいな奴にさ」
たしぎは、立ち上がって頷くと、ゾロと共に、船へと戻って行った。
―終わり―
■あとがき■
あー・・・今回のお題は、かなりキツかったです。
即席・・・即席・・・即席・・・とずっと考えていて、これなら即席のペアだしと思いついたのが、今回のお話でした。
同じ即席ペアでも、組み合わせによっては・・・と言う事で、対照的な4人に白羽の矢を立ててみました。
最後は微妙にゾロたしっぽいですが、一応友情物です(逃)
あと、ゾロの
「俺達は若い・・・」
と言うセリフですが、ゾロ達が子供だと自覚したと言う意味で受け取っていただければ幸いです。
少なくともロビンちゃんはオババじゃないです(T_T)