フラスコ

(ワンピース/ウソップ・チョッパー)


「ルフィ、ちょっと来い。」
昼下がりの甲板では、ウソップがいつもの様に何やら妖しげな実験をしていたウソップが、いつもの様にメリーに座っていたルフィに声を掛けた。
「お?何だ?」
ルフィがこちらに来るのを見計らって、ウソップはルフィに妖しげな液体の入ったフラスコを手渡した。
「ちょっと飲んでみろ」
ウソップに言われるままにルフィが液体を口にした直後、ルフィの手からフラスコが落ちると同時に、その場に倒れこんだ。
「な・・・なんだこれ?・・・体が・・・動かねぇ・・・」
「ウソップ!ルフィに一体何したのよ!?」
ルフィの倒れる音に気付いてすっ飛んで来たナミがウソップに掴みかかると、ウソップは静かにルフィを見た。
「・・・少しすれば治るから、ちょっと我慢してくれ。」
ウソップは、ルフィの落としたフラスコをホルダーに戻すと、今度は紙とペンを取り出した。

何時の間にか全員が集まり、ルフィを見る中、痺れが取れると同時に、今度はルフィがウソップに掴み掛かった。
「お前!!いきなり何すんだよ!!」
「いや、お前なら何飲ませても死なないと思ったから、必殺痺れ星を試させてもらったんだ」
「・・・何だ、新しい武器の開発かよ。だったら良いや。」
「良いのかよ!?」
あまりにも素直な反応に、隣り合って様子を見ていたサンジとゾロが、間髪を入れずにツッコミを入れた。
「だってちゃんと治ったじゃんか。だったら良いんだよ。」
そう言ってルフィがにっこりと笑うと、ウソップはルフィを抱き締めた。
「やっぱり俺の意図を察してくれるのはお前だけだ。ルフィィー・・・」

「でも、もしそれでルフィに何かあったら、どうするつもりだったのよ?」
夜になり、サンジの用意した夕食を食べ始めると、ナミは改めてウソップに問い掛けた。
「そんな時の為にチョッパーが居るんだろ?」
「だからって・・・」
ナミが心配そうにルフィを見ると、ルフィが、思い出したかの様にポンと手を叩いた。
「あ、そう言えばチョッパーが来てからだよな。俺に変な物飲ませ始めたの」
「・・・そりゃ、いくらルフィが死ななそうだからって、医者も居ないのにバカな真似なんかするかよ。」
ウソップが溜息交じりにそう言うと、ナミもようやく納得した様に息をついた。 「で?どうだった、結果は」
「あぁ、ルフィで10分だから・・・常人なら30分は麻痺するな」 今まで三人の会話を黙って聞いていたチョッパーが口を開くと、ウソップは思い出した様にそう答えた。。
「30分か・・・丁度良いかもな」
「あぁ、返り討ちのついでに盗みに入るなら、丁度良い時間だろ?」
「え?・・・まさか、その為に?」
「いくら俺たちが海賊でも、殺生沙汰は極力避けたいからな。」
ウソップとチョッパーがそう言ってニッコリと笑うと、ナミにもようやく笑みが戻った。
「おい、丁度良い実験台が表れたぜ?」
表で見張りをしていたゾロの声に皆が反応して外へ出ると、一艘の帆船がこちらへ真っ直ぐに向かって来ている。
「よし、チョッパー、玉は出来てるか?」
「あぁ、さっきのも少しだけど作っておいたぞ!」
「よーし!ウソップ海賊団、出撃だー!!」

「いつからお前の手下になったんだよ俺はー!!」
チョッパーの叫びが空しく響く中、ウソップ達は対峙する船に向かって飛び出して行った。

―終わり―


■あとがき■
またまたウソップのお話です。
今回はウソップとチョッパーの関係を上手く出したかったのですが、上手く行ったでしょうかねぇ?
本当はウソップ、ルフィ、チョッパーの三人が、トリオで好きですv
何かあの三人って、兄弟みたいで可愛いなと思ってしまうのは私だけでしょうかねぇ・・・。
まぁ、それはともかくとして、楽しんで頂けたなら幸いです。




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