(お前ら、覗き趣味も大概にしろよな)
小声で囁くカンナの耳には、ガラスのコップがドアに押し付けられている。
(そういうカンナさんだって、しっかり仲間に入ってるじゃないですか)
そういうさくらを始め、皆の耳にもコップが押し付けられ、中の様子を伺っている。
(二人ともうるさいでーす!聞こえないじゃないじゃないですか)
6人は、黙って中の様子を伺っている。
「巴里に行かせろだぁ?」
支配人室の中では、米田がマリアの唐突な発言に、片方の眉を吊り上げた。
「はい。・・・今の精神状態では、とてもじゃないですが、舞台も戦闘も務まりませんし。もし許可が下りなければ、退団して、個人で巴里に向かうつもりです」
「おめぇ、本気で言ってるのか!?」
「もちろんです」
退団と言う言葉に驚いて、身を乗り出す米田に対し、マリアは眉一つ動かさずに答えた。
「・・・・・・・・・仕方ねぇな」
米田は椅子に座りなおすと、バツが悪そうに頭を掻いた。
「え?」
マリアの表情が驚きと期待の入り混じった表情に変わると、米田は苦笑を漏らしつつ、かえでを見た。
「何度も説明するのも、面倒くせぇや、あいつら中に入れてやれ」
かえでは苦笑を漏らしつつ、ドアを開けると、コップを背に、そ知らぬ顔をしている6人に、中に入るよう、促した。
「ばっかやろう、耳にコップの痕つけてんじゃねぇよ、みっともねぇ」
6人の耳には、丸い輪になった赤い痕がくっきりと残っていて、その顔を見たマリアが、呆れた後、笑い出した。
「おいおい、ゲンキンな姉ちゃんだなぁ・・・さっきまで死にそうな顔してたのによぉ」
「し・・・支配人!!」
真っ赤になって慌てるマリアを観て、皆で笑った後、米田が提案した事は、すぐさま皆に了承された。
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