「へー、大神はんが釘の代わりに指を打ったと・・・・」
「それで手当てしてくれたのがあやめお姉ちゃんだったんだ」
「で?その後さくらさんは結局手伝いしないで部屋に篭ったと、そういう事ですわね?」
「・・・だって、あの時は恋人みたいで・・・羨ましかったと言うか・・・」
「ふふふ、いかにもさくららしい話ね」
「まぁ、次の日、一番頑張ったのはさくらだったし、良いじゃねぇか・・・それより」
カンナはそう言って、しみじみと舞台を見回した。
「あたい達・・・あやめさんが居たからこそ、こうして今も舞台に立っている・・・そんな気がするんだ」
「そうね、あやめさんが居なかったら、私きっと・・・」
カンナとマリアがそう言いながら客席を見つめると、皆もまた一様に思い出に浸る様に、ぼんやりと客席を見つめた。
「おいおい、皆して何してるんだ?」
しんみりした空気の中、聞きなれた声に一同が驚いた顔で袖を見ると、其処には一升瓶を抱えた米田が笑いながら近づいてきた。
「あやめくんは、こんなしんみりした雰囲気は大嫌いだった筈だぞ?」
米田はそう言うと、舞台の真中にどっかりと腰を下ろした。
「どうせ公演は夜からだろ?ほら、てめぇら、ぼやぼやしてねぇで、自分のコップを持って来い!・・・それと、織姫とレニとかえでくんも、起きている様なら、呼んできてやれ」
「はい!」
その後、真夜中の舞台では、あやめを偲んでささやかながらも賑やかな宴会が開かれたという。
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